ネット広告マンが語る業界の真実

インターネット広告代理店の業務内容や、新卒・中途向けの業界情報など、就職活動、転職活動向けの情報を発信。

ネット広告代理店マンのキャリアについて考える

キャリア


はじめに

こちらの記事にも書きましたが、ネット広告代理店は世論が推し進めている働き方改革やAIの台頭によって、以前に比べると多忙・激務という環境は変わりつつあります。

とはいえ、やはりまだアイレップやアドウェイズなど体育会系の会社では、0時を回っても働き続けているイメージもあります。

私は徹夜ができないのですが、2年前に最大で朝の4時まで働いていたことがあります。その次の日(その日)は早く帰ってやろうと思っていましたが、なんだかんだで定時から23時くらいまで働いて満身創痍だったことが今では懐かしいです。

そんな中、やはり辞めていく人は多く、人が辞めていく度に自分も「ずっとこのままでいいのか」「Web・IT業界の人材が売り手市場の中、もっと年収をあげることはできないか」とよく考えてしまいます。

今回の記事では、ネット広告代理店の次なるキャリアについて考えていきたいと思います。


今まで辞めていった人の転職先

広告主側のWebマーケター

これが最も多いケースです。Webマーケティング職はどこも枯渇しており、上述の通り売り手市場状態です。また、ネット広告代理店に入社する人はWebマーケティングの高みを目指したいという志向の方が多いのです。

しかし実際にはWebでコンバージョン(申し込みや購入のこと)をする際に、広告経由で流入した人は全体の10%~30%程度でしかなく、そういう意味ではネット広告代理店が関与できるWebマーケティングの領域も10%~30%でしかないのです。これはあくまでアトリビューションや、統合的なマーケティング提案領域を加味していないので一概にこうであるとは言えませんが、頭の片隅には入れておくべき事柄です。

とはいえ、運用型広告は非常にコントローラブルな領域なので、各企業こぞって出稿しますし、運用型広告に精通した人材を確保したいと思うわけです。

ただ今までの記事でも書いてきたように、インターネット広告は進化・変化が激しいので各媒体ごとの情報や手法は半年~1年で淘汰されていきます。広告主側のマーケターになる際は、そういった情報だけでなく、ロジックの組み立て方や分析の仕方、テクノロジーへの理解など、頭脳のスキルを養ってからが良いと思われます。


☆メリット
売り手市場であり、非常に重宝される人材。

☆デメリット
情報はすぐに新しくなるので、自身のビジネススキルがないと活躍なできない。


上位のネット広告代理店

最近では少なくなりましたが、電通デジタルが発足した際は非常に多かったです。

電通デジタルは高い給与で、同じネット広告代理店マンをこぞって採用したため、私の会社でも何人も転職していきました。(※しかし実際に転職した人は活躍していた人ではなく、給与や社名に惹かれて転職した志向の低い、優秀とはいえない人材ばかりでした。)

下位のネット広告代理店から、中堅・上位のネット広告代理店に転職するケースはかなりありますが、上位⇒上位のケースは非常に少ないため、電通デジタルへの転職の流れは正直びっくりしました。

また広告主側のマーケター同様、人材としては非常に重宝されるため、転職は非常に容易だと思われます。私もエージェント・ヘッドハンターを通じて何度も電通デジタルへの誘いがありましたが、全て断りました。

断った理由としては、環境や給与を変えるだけで実務は大きく変わらないだろうなと思ったのと、今よりも成長機会は減ると思ったからです


☆メリット
売り手市場であり、即戦力になれる。

☆デメリット
業務内容は大きく変わらないため、成長機会が減る可能性がある。


広告媒体側、ツールベンダー

これらは広告主側に次いで多いと思います。成功の例だとGoogle、Yahoo、Twitter、Facebookなどの有名媒体、多い例だとADNW/DSP事業会社や、アフィリエイト、DMP、LPOツールなどの会社が多いです。

Google、Yahooなどは一流企業ですので、誰もが夢見ることでしょう。当然、ハードルも非常に高いため、それなりのスキルを磨いていないと入社することはできません。またGoogleは最近ではリファラル採用が殆どらしいので、非常に狭き門となっています。

ADNW/DSP事業会社に関しては、元ネット広告代理店マンという立場から、他媒体の情報をたくさん持っているという点で非常に重宝されます。

私にも数人ADNW/DSP事業会社の友人がおり、他媒体の情報などを時たま聞き出そうとしてくるケースがあります。このへんも広告代理業と非常に密接に関わっている職種なので、重宝されること間違いなしでしょう

しかしこれらの会社への転職は、今まで複数の媒体やツールを取り扱ってきたネット広告代理店マンとしては、売る商品を限定的にする行為であり、色々なものを取り扱える楽しみがなくなるとも言えます。


☆メリット
色々な情報を知っている人材として重宝される。

☆デメリット
販売商品が限定的になり、フットワークが重くなる。


コンサルティングファーム

コンサルティングファームに転職する人は、華やかな広告業界で働きたい!というより、戦略を煮詰めてビジネスを拡大していきたい、という志向の方が多いです。

初心に戻れば、広告出稿の目的もビジネスを認知・拡大していくためのものです。それを一人の担当としてではなく、全体の戦略を設計していくという立場になりたい人も中にはいます。

実際に大手の外資系コンサルティングファームに転職した先輩によれば、やはりネット広告代理店の提案に比べると緻密にロジックが作られており、非常に学びが多いと話していました。

一方で戦略を立てるだけで終わりなのが、コンサルティングファームの欠点でもあります。ネット広告代理店の場合、立てた戦略に対して実行まで担うケースが全てなので、実際に自分の考えは合っていたのか、間違っていたのかをこの目で見れるのは楽しみの一つではあります。

また未経験採用となるので、いきなり大きなプロジェクトの戦略立案に絡めるわけもなく、最初はリサーチや資料修正など細かい作業が多いそうです。その上、広告代理店と同様に激務であるため、忍耐力がない人や、ビジネスマンとしての目指す姿が不明瞭の方にはおすすめしません


☆メリット
給与が高く、大きなビジネスに関わることができる。個々人のスキルも非常に高いため成長機会が多い。

☆デメリット
激務。いきなり大きなビジネスに関われるわけではない。戦略の実行まで担えない。


その他

上記の4職種・業界が最も多い例です。ここから先は、あまり例が少ないケースですが、こんな転職先もあるんだと参考にしてみてください。

  • 独立(少)
  • 事業会社のアナリスト(少)
  • ネット広告以外の代理店(少)
  • 人材会社の営業(少)
  • 寿(少)
  • メーカー・商社の営業(極少)
  • 趣味に関わる仕事(極少)


エンジニアに関しては、対応できる言語さえマッチすれば業界選ばず転職をする人は多いです。

また独立志向を持っている方も少なからずいたり、よりビジネスマンとしての高みを目指すために人材会社に転職する人も多いです。(リクルートなど)


今後はどうなる?ネット広告業界

自動化・インハウス化が進んでいる

業界未経験の人は想像がしづらいと思いますが、ネット広告業界はいま、自動化・インハウス化が進んでいます。Google経由で出せる広告も殆ど自動になっている上、Google自体が自動化を推奨しています。

次のキャリアという観点から考えれば、今現在ネット広告代理店で働いている人はインハウス化の波に乗って広告主側に転職しやすい風潮は更に強まるでしょう。

一方でこれからネット広告代理店に面接に来る人は、そんな潮流も知らず「市場が成長している!」「SNSの広告やりたい!」とキラキラした目で志望動機を語ってくるわけです。実際に入社してみると、確かに業績は成長しているものの、なんだか勢いがなかったり、自動化!自動化!と言われ、自分の価値ってなんだろうと思い悩む時がきてしまうのです。


今後、ネット広告代理店はどうなっていくのか

結論から申し上げますと、ネット広告市場はまだまだ伸びると思いますし、ネット広告代理店の業績も最低でもあと5年は伸び続けると思います。5年という数字に根拠はありませんがw、まだ暫くは今の業態が覆ることはないでしょう。

その理由は「広告主側のWebマーケター」の項で説明した通り、新しい情報が日々発信されているため、インハウス運用だとどうしても新しい情報の全てを手中に収めることは難しく、やはり「代理店」という他商材を扱っている立場を活用したほうが良いのです。

その中でなぜ、一部の企業はインハウス化を進めているのでしょうか?

その理由は、GoogleやFacebookなどの媒体社から直接サポートを受けることができるからです。そのため最新の情報を、最高の鮮度で知ることができ、むしろ代理店より情報が早いことがあります。

しかし相当な出稿金額がないと、直接手厚いサポート受けることは難しいのが実情です。最近ではGoogleが積極的に出稿金額の少ない広告主にアプローチをしていますが、実際は超基本的なサポートのみで、一緒に広告戦略を考えてくれることはありません。

また代理店は基本的にフィービジネスとなっているため、例えば1億円の広告費だと代理店に支払う金額はおおよそ2,000万円、500万円の広告費だと代理店に支払う金額はおおよそ100万円となります。専門性の高い広告チームが月100万円でサポートしてくれる、と考えると人件費などの観点からそこまで悪くない買い物だなとは思いますが、月2,000万となると正直高いなと思いませんか?

もちろんサービスレベルは上げてもらったり値引きも入るとは思いますが、それでも正直高いと感じてしまいます。

そういった理由で、インハウス化を進めることができるのは出稿金額が大きく、且つ制作や運用などができる組織がある企業でないと難しいのです。


いかに自分の価値を高めるか

最後になりますが、就職をするにしても、転職をするにしても売り手市場とはいえ、誰もが優良企業にいけるとは限りません。中途半端に取り組んで、ネット広告代理店がキツイから、待遇が悪いから、という理由で転職をする人を数を多く見てきました。

そういった人たちは一時的な年収アップのために転職をしてしまい、生涯年収の限界値を自分で下げている可能性が大いにあります。(そう願いたいw)

ネット広告代理店は、正直人材の勝負です。扱っている商材はほぼ同じなので、あとはいかに自分がそれに高い価値を付けてプランニング・販売できるかです。そのため販売のためのロジックの立て方、広告主側との折衝、最新情報のインプット~アウトプットまで、社会人として必要なスキルを包括して養うことができます

また業界もまだ若いため風通しの良い会社が多く、良いと判断された意見はプロジェクト化し、そのプロジェクトリーダーとして先導できる機会もたくさんあります。

これから就職活動・転職活動をする人は、ぜひネット広告代理店マンとしてどういった経験を積みたいのか、改めて考え直してみてください。