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良い会社かどうかを見極めるためにはIR情報を見よ

IR情報

はじめに

IRとは

インベスター・リレーションズ(IR)は、企業の証券が公正な価値評価を受けることを最終目標とするものであり、企業と金融コミュニティやその他のステークホルダーとの間に最も効果的な双方的コミュニケーションを実現するため、財務活動やコミュニケーション、マーケティング、そして証券関係法の下でのコンプライアンス活動を統合した、戦略的な経営責務である。(参照:wikipedia)

端的に言えば、投資家向けの広報活動のことです。よくコーポレートサイトに「IR情報」ってありますよね。そのリンクを恐れずに叩いてみましょう。

ネット上には各社の口コミ・評判は溢れかえっていますが、そこで書かれている内容の殆どは給与や、労働環境ばかりで、経営理念や経営方針について言及しているケースは少ないのです。

IR情報にある内容は、コーポレートサイト内にある「経営理念」や「社是」のような定性的な情報に留まらず、いまの事業にどんな課題があって、次にどういう取り組みをおこなっていくのか、またその企業の強みなどをより具体的に紐解くことが可能なのです。


モチベーションの源泉は?

モチベーションは大きく2つに分けることができます。1つは自分の内なる感情からくる「内発的動機づけ」と、もう1つは外部から与えられる「外発的動機づけ」です。

内発的動機づけは、主に趣味や夢の実現(自己実現)などによって働くモチベーションで、楽しい!もっと成長したい!などの感情からやる気がみなぎってくることです。

一方で外発的動機づけは、給与や社会的地位、懲罰などによって働くモチベーションのため自主性が低く、モチベーションが長続きしないと言われています。

さて、上述の通りネット上に書かれている口コミや評判の殆どは給与や労働環境など、外発的動機づけに関する情報が殆どなのです。良い会社選びをしたいならば、そういったネット上の口コミ・評判を軸に企業選びをしないことが重要です。なぜならその情報を元に動機形成がされていた場合、その会社での満足が長続きしない可能性が大きいからです。

そんな中、IR情報のような企業活動の今を体現しているものは、内発的動機づけ(自己実現)と関連付けやすい情報が多分に含まれているのです。


良い会社と悪い会社の違いは?

見極めのポイント

ここでいきなり結論を申し上げます。良い会社と悪い会社のの見極め方は経営理念・社是と、四半期~一年の戦略にズレがないかを確認することです。経営理念や社是は、コーポレートサイトでチェックをしますよね。中には社長が出版した本を読む人もいます。経営理念への共感は一つの就職活動における決定要因にもなりますし、なにより面接で志望動機にしやすいですよね。

しかし実際はそんな経営理念が反映された組織運営がされていないケースが多々ありますよね。

組織内で内発的動機づけを高めるためには、経営理念や組織運営の方針が、自己実現の方向性とマッチングしている必要があります。そのため、コーポレートサイトにある経営理念だけではなく、実際にその理念を元に、どういった組織運営がされているのかIR情報で見極める必要があるのです。

また良い悪いは各人の主観が入るので、ここではIRによってこんなことが分かるよ、というのを説明しようと思っています。


具体的な企業での例

アイレップの場合

www.irep.co.jp

こちらのコーポレートサイトにあるいくつかのメッセージをピックアップしました。

  1. デジタル時代のマーケティングを再定義する
  2. 正しいことを大きく提案できる代理人としてクライアントの成果実現とユーザーへの価値提供を行う
  3. 徹底的に顧客の成果に向き合う文化


いくつか決算説明会の資料を見ましたが、こんなことが書かれていました。

「アイレップは、クライアント向き合いのエージェンシー事業に特化し、収益向上を狙う」

これは③と共通する部分ではありますが、①②について言及されている部分はありませんでした。①についてはコーポレートサイトで「テレビやアウトドアメディア、コンテンツマーケティングに関する相談が増えています。」という表現がされています。

増えているのにも関わらず、そういった取り組みを記載していないのは何故でしょうか。ちなみにコンテンツマーケティングに関しては業務提携などの取り組みをしていましたが、アイレップ内でどう動いていくかについては言及されていませんでした。

この説明会資料から、私自身は「アイレップは広告運用部隊であり、アドテクやデジタルマーケティングを再定義する集団はDAC側が担っているのでは」と思いました。そのため顧客に向き合って行きたいという人はアイレップに向いていますが、デジタルマーケティングでイノベーションを起こしたいという人はアイレップには向いていません。


セプテーニの場合

www.septeni.co.jp

同様にコーポレートサイトからいくつかのメッセージをピックアップします。

  1. ひねらんかい
  2. ひとりひとりのアントレプレナーシップで世界を元気に
  3. 日本を、アジアを、そして世界を代表するインタラクティブ・エージェンシーをつくる


結構世界を意識したワードが、コーポレートサイトで散見されました。ではIR情報ではどうでしょうか。

良いと思ったポイントは着実に海外での収益が増えており、海外収益比率は15%に到達しそうな勢いです。経営層は宣言の通り、しっかり海外に目を向けていることがわかります。

しかし一方で、昨年セプテーニは給与を引き上げています。これは業界内では人材の流出を防ぐためと言われています。

アントレプレナーシップで世界を元気に、とありますが人材の流出は防ぎたい。この若干の矛盾から、あまり社内風土は良くないのかなと推察されます。本当にアントレプレナーシップを持ってほしいのであれば、リクルートのように起業を推奨する筈ですからね。

とはいえ起業をする人は容認していて、そうでない人(ただの転職)は引き止めたいという理由であれば、おそらくこのアントレプレナーシップという考えはそこまでセプテーニ内で浸透していない可能性が高いです。

つまり起業家精神を持っていて同じような思想を持っている人と一緒に働きたいのであれば、セプテーニよりリクルートの方がおすすめ、ということです。

また海外進出は成功しているようなので優秀な経営陣であることは確かですが、経営陣の求める人材と、現場が求める人材に齟齬がある可能性も高いです。


さいごに

まとめ

いかがでしたか?IR情報(主に説明会資料)にはコーポレートサイトをみただけでは分からない情報が沢山溢れかえっています。

コーポレートサイトには代表メッセージや経営理念など上層部からのメッセージがほとんどですが、実際に皆さんは経験者でない限り一番下っ端からスタートします。そのときに、その現場は果たして上層部の理念に基づいて行動ができているのでしょうか。

現場社員との座談会などもありますが、正社員としては社交の場として捉えているので、そんな現場の実情をリアルに語ることはありません

IR情報を自分の目で見て、より一層志望企業の理解を深めてみませんか。