ネット広告マンが語る業界の真実

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広告代理店が激務とされる所以、コンペとは?

提案

広告代理店業務の整理

インターネット広告代理店の販売商品

インターネット専業の広告代理店は、総合代理店と違い、リスティング広告をはじめとする「運用型広告」というものの販売が中心です。この種類の広告はテレビと違い、広告の効果に合わせて配信量を増減させることができたり、クリエイティブを差し替えることができるため「運用型」とされています。

運用型広告が販売の中心とはいえ、もちろん取り扱っている広告はその限りではありません。例えばYahoo!のTOPページ、PCで見ると右側に広告がありますよね。(Yahooブランドパネル)

Yahooブラパネ

これは純広告といって、期間や表示回数で「枠」を買う、非運用型の広告です。(Yahoo!DSPでも一応配信できます。)

ちなみに、最近よく流れているYoutubeの5秒間スキップできない広告や、6秒見させられる広告は運用型の広告です。別に動画だからといって、純広告なわけではないのです。更にちなむと、あれはGoogleのプラットフォームから配信をします。

また運用型広告と純広告以外にも、「PR企画」を販売することがあります。話題を生むようなイベント、キャンペーンを交えて広告をおこなっていくものですね。有名なものだと、docomoの3秒クッキングなどですかね。こういった「企画」と、それをもとにした「広告制作」は利益率が良いため、広告代理店は積極的にこういった企画を提案・受注していきたいのです。

しかしそういった「企画」「制作」はスポットで終わることが多く、定常的な売上に繋がりづらいのです。


既存案件・新規案件

そのため、インターネット広告代理店は「運用型広告」で安定的な売上確保を行い、またそこで実績を残した上で、「企画広告」をスポット的に提案していき利益率を向上させる動きをとっていきます。

そのため、広告代理店は大きく分けて2つの営業方法に分かれます。

  • 既存の運用型広告でしっかり実績を残すための営業
  • 運用型広告で実績が出せていない企業に対してリプレイスを狙う営業


前者は高利益獲得のために、しっかりと目標CPA(ユーザー1人当たりの獲得単価)を達成し、信頼関係を構築していきます。もちろんそれで企画広告が受注できなくても、運用型広告での出稿金額を伸ばせればよいのです。イメージとしてはルート営業ですね。

後者に関しては、土台となる運用型広告でうまくいっていない企業に対して「うちなら効果良くできますよ!」とアプローチし、代理店の切り替えを狙っていきます。もちろん他のアプローチ方法もありますがw。イメージとしては飛込営業です。(これはイメージダウンかな・・・)

企業のWeb担当者は悩みを抱えていることが多く、もっと効果をよくしたい、今の担当者がイケていない、来期から広告予算が増えるけど今の代理店じゃ不安だ等々、代理店切り替えのタイミングは意外にも結構あるのです。そしてそこで発生するのがコンペです。


なぜ広告代理店は激務なのか

突発的に発生するコンペ

コンペとは各広告代理店に課題を提示し、各社の提案を競わせることをいいます。競われる内容は、プロモーションの論理性や計画性、面白さや料金形態、チーム・体制など様々です。企業によっては「提案の筋が通っていて目指す方向が明瞭だった!」という納得のいく提案が欲しい場合もあれば、「手厚い体制で料金も安い!」という取引内容を優遇してほしい場合もあります。

新規提案を専門的にやる「コンペ部隊」なるものが存在する代理店もあり、サイバーエージェントは優秀な人にコンペをやらせ、受注できたらダメな社員を担当につかせるという噂もあります。

新規提案なんて、ほかの業態でも発生するでしょと思うかもしれませんが、広告代理店のコンペは違うんです。なにが違うって突発的に発生するのです。

どれくらい突発的かというと、早いものですと月曜日にコンペ発生、水曜日にヒアリングアポ、週末の金曜日に提案くらいのスピード感です。


様々な与件

「来期から広告予算が増えるけど今の代理店じゃ不安だ」ということであれば時間に余裕があるコンペが多いですが、来期というのは大体どこも1月からか、4月からです。そのためコンペが同じ時期に沢山発生するという現象も起きます。(弊社は今まさにそれです。)

大体遅くまで残ってるな~という人はコンペに参加しており、その提案資料の準備や企画案の捻出に頭を悩ませています。

なぜ絶え間なくコンペは発生しているのに効率化できていないのか、それはクライアントの与件がバラバラだからです。売り上げ目標も、プロモーション期間も、課題も、何もかも企業によって異なるため、全く同じ提案になることは皆無なのです。いうなれば広告代理店とは、オーダーメイド商品を売っているようなものなのです。

ただやはり少しでもこの部分を効率化しようと、各社セミオーダーメイド的に取り組めるように、提案資料キット、コンペキットなるものを用意されているケースもあります。


ドラマのようなプレゼンテーションシーンは!?

Apple設立者であるスティーブジョブズはプレゼンテーションが上手いことで有名です。舞台に大きなスクリーンを用意し、Appleの新商品を説明していく姿は有名ですよね。

場所・規模は違えど、広告代理店広告代理店のプレゼンテーションも同じような形で行われるのでしょうか?



答えはNoです。



意外にもインターネット広告代理店のコンペは淡々としています。確かに会議室の大きなスクリーンに資料を映し説明することもありますが、インターネット広告はかなりロジックの部分の割合が多いため、ああやって端的にかっこよくプレゼンテーションをする機会は少ないです。(日本人だからかな?)

私もこの業界に入ったとき、初めてのコンペはなんだかドキドキ。ワクワク、緊張する~~!と様々な感情が駆け巡りましたが、いざ提案となると、「あ、こんなもんなんだ」と少し拍子抜けしました。

なので広告代理店に入ってイケイケなプレゼンテーションしてみたい!という方は、過度な期待をしない方が賢明でしょう。


コンペで一番時間がかかること

軽く触れましたがインターネット広告は、広告効果を数字で見ることができるためロジックが非常に重要となってきます。

そして企業のWeb担当者を納得させるためには、そのロジックの積み上げが必須となります。しかし所詮は広告に閉じた提案なので、大体どこの代理店も似たり寄ったりの提案をするケースが多いらしいです。

そこでやはり代理店としては、自分たちの色をどうやって出すかが重要になってきます。

自社のプロダクトを使った企画なのか、顕在化された課題だけでなく、潜在的な課題も解決する提案なのか、体制・値引きを強めるのか、戦い方は様々です。どうやったら他の代理店を出し抜けるのかをコンペメンバー内でああだこうだ言い合って、一つの方向にみんなが進んでいくところにコンペの面白さがあり、忙しさを生む要因もあるのです。

なので、私は確かに広告代理店は激務であるとおもいますが、その激務の裏側には非常にやりがいのある仕事があることも忘れてはいけません。そこに価値を見出せない人は、正直広告代理店は向いていないと思いますよ。